2000年もお肌うるうる?始皇帝もハマった究極のアンチエイジング薬

飲めば2000年もお肌ピチピチ?古来中国の究極のアンチエイジング薬

「乙女の日本史」でおなじみ、人気歴史エッセイスト・作家の堀江宏樹が世界のびっくりビューティエピソードを紹介するコラム連載(不定期)がはじまりました!

 

今回は中国・日本(平安時代)で飲まれていた、究極のアンチエイジング薬のお話です。

 

究極のアンチエイジング

平安時代の日本では、水銀をベースにした「仙薬」という、「不老不死の薬」が飲まれていました。


もちろん水銀は脳や神経をおかしくしてしまう猛毒ですので、絶対に飲んではいけません。
しかし仙薬は古代中国でもしきりに飲まれていました。

というか、古代中国が原産地で、海外セレブに人気のクスリとして日本にも輸入されてしまったんですね。まぁ、現代のビューティー&ヘルスの商品の宣伝と同じ構図なのには苦笑してしまいますが。

中国統一をし、不老不死を願った始皇帝

中国をはじめて統一した秦の始皇帝は、かなり熱心にアンチエイジングにとりくみました。


秦という小国の王だった彼が、中国全土を支配下に置いたのが38歳の時。現代では38歳の「若さ」になりますが、そもそも四十歳のことを漢語では「初老」と呼びますからね。


当時は医療技術なども現代にくらべると不十分です。ある年齢を超えると、老いの坂を転がり落ちるだけ。始皇帝はなんとか、その坂の一歩二歩手前でふんばりたかったのかもしれません。

 

彼のアンチエイジングへの情熱は異常なまでに高まり、中国国内から、日本などに国外いたるまで使者を送ったとか送らなかったとか。満足した成果を出せなかった使者は殺してしまったそうです。それでも全国統一の約11年後、49歳で始皇帝は亡くなりました。

 

始皇帝の伝記については、秦の次の王朝である漢のカリスマ歴史家・司馬遷の『史記』に記されていることが中心です。中国の歴史書はとくに自分の前の王朝に対してケチョンケチョンに書かれます。ですからどこまで信頼したらいいものかは、場合によるんですけれどもね。


ちなみに始皇帝のお墓にあたる「始皇帝陵」の発掘は1970年代以降、しばしば行われています。その成果としてわれわれは副葬品である、兵馬俑(へいばよう)などを見ることができるんですね。『史記』にもこの手の記述はあります。

なお、あれは黄泉の国にいった始皇帝に仕えるための特別なスタッフとして埋められており、日本のハニワなどとは異なり、生き埋めにされる殉死者の数をへらすためのものとは観点がちがったようです。そもそも始皇帝の後宮にいた多数の女性たちで、子どもがいなかった人は皆殺し。そして始皇帝の子どもたちは、一人を除き、全員が殉死させられています。殉死者はまた別枠なのでした。

 

しかし・・・・・・そこまでわかっていても、広大すぎる始皇帝陵は地下宮殿、ダンジョンみたいなもので、いまだに発掘されていないエリアがあるんですね。
それは始皇帝の棺が安置されている中枢部などで、周りを水銀の「海」で満たされているからだとか。
ここからも、始皇帝が仙薬にものすごい信頼を置いており、水銀愛が濃厚だったのは疑いようもないコトだと思われるのです。そもそも始皇帝は、水銀を常に飲んでいて、手足のしびれ、意識の混濁、ケイレンなどを特徴とする水銀中毒にならなかったのか・・・・・・と思いますよね。
実際、そうなっていたと思われますよ。なぜ投薬をやめなかったのかというと、結局、彼はある時期から「老い」を止めるのは難しいことだと悟り、自分の遺体を腐敗させない方向にアンチエイジングの目的を切り替えたのではないか、と。
恐ろしいことですけれど、水銀を大量に細胞レベルで含んだ遺体というのは、腐敗しないのです。

 

仙薬で2000年もお肌ぴちぴちの女性が発見された!?


秦の次の王朝にあたる、漢代の遺跡「馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)」(湖南省)でびっくりするような発見がありました。


葬られてから2000年以上経過すると、お墓の上に土砂がたまり、その上に別の建物が建つようになり、20世紀には病院が建っていました。
その建替え工事の時、遺跡が発見されてしまったのです。


1972年に発掘調査が行われたのですが、埋葬者の正夫人と思われる女性の遺体は2000年以上たったのちも腐敗しておらず、ミイラですらありませんでした。遺体には弾力があり、防腐剤を皮下注射された時は、血管の中を液体が走っていく様が確認できたとか・・・・・・。

 

これは彼女は仙薬を飲んでいたからと考えられています。


同じ理屈で、水銀の海に囲まれた始皇帝の遺体も、「完全無欠」で存在しているのでは、と思われてなりません。言い伝えどおり始皇帝が、仙薬をちゃんと飲んでいたら・・・・・・の話ですがね。
誰もが長生きしたい世の中です。

 

しかし長生きはしたくても、誰もが老人にはなりたくないのですね。

「永遠に美しく」なんて映画がありましたが、アンチエイジングを極めつくせば、バケモノになるしかないということなんでしょうね。

 

 
PROFILE
 
堀江 宏樹 HIROKI HORIE/歴史エッセイスト。日本、世界、古代、近代を問わず、歴史の持つ面白さを現代的な視点、軽妙な筆致で取り上げている。 近著に『乙女の日本史』シリーズ(KADOKAWAなど)、『本当は怖い世界史』『本当は怖い日本史』『ときめく源氏物語』(三笠書房)、『偉人はそこまで言ってない 歴史的名言の意外なウラ側』(PHP研究所)など。
@hirokihorie

飲めば2000年もお肌ピチピチ?古来中国の究極のアンチエイジング薬

飲めば2000年もお肌ピチピチ?古来中国の究極のアンチエイジング薬

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